2019/06/29「SHIBUYA eSPORTS EXPERIENCE」レポート




2019年6月29日(土)に渋谷駅前ハチ公前広場にて、東京青年会議所が主催の「SHIBUYA eSPORTS EXPERIENCE」が開催されました。

その開催意義は「渋谷区の中学生を対象に最先端産業であるeスポーツ関連ビジネスを体験させる場」というものです。

eスポーツを冠したこれまでのイベントと少し違うこのイベントの模様をご紹介いたします。


概要

主催:公益社団法人 東京青年会議所 渋谷区委員会

統括:凸版印刷株式会社

制作:株式会社 RIZeST

場所:渋谷駅前ハチ公前広場 = 登壇ステージ、イベント配信ライブビューイング

渋谷TSUTAYA地下2階 = ストリートファイターVアーケードエディション対戦イベント会場

日時:2019年6月29日(土)10:00~15:00

内容:ハチ公前広場にて中学生企業ワークショップ「MANABUYA DAY1」優秀チームプレゼン

ハチ公前広場にてeスポーツ関連識者パネルディスカッション

ハチ公前広場にて中高生のeスポーツイベント職業見学

渋谷TSUTAYAにてストリートファイターVアーケードエディション対戦イベント

対戦イベントを登壇ステージにてパブリックビューイングおよびOPENREC.tvでのライブ配信実施

協賛:NTT東日本、大正製薬、OPENREC(CyberZ)、HORI、AK RACING(テックウインド)

ZOWIE(BenQ)、Diana、丸荒渡辺、東急電鉄、東急不動産


概要でまず目を引くのは「渋谷駅前ハチ公前広場」というロケーション。

eスポーツに限らず、イベントを開催するのは難しそうな場所です。ですが今回は主催と統括の2つの企業により開催が可能となったと言えそうです。

主催の公益社団法人 東京青年会議所は1949年に発足し『明るい豊かな社会』の実現を目指す青年団体とのこと。

活動のなかでは全国の小学生による「わんぱく相撲全国大会」が有名です。

統括の凸版印刷株式会社は様々な事業を手がけ、その事業分野のなかにはイベント企画、運営もあります。

行政のイベントに関わることも多く、今回のような公共の場でのイベント企画や開催を実現できる企業として他にないのではないでしょうか。

この2つの企業により、中高生に最先端産業であるeスポーツに関わる仕事を体験させるというイベントが実現しています。

さらに目の前の渋谷TSUTAYAにて、eスポーツ業界ではもはやお馴染みのRIZeSTがゲーム大会を平行で開催。イベントにエンターテインメントも盛り込んでいます。

■ 開会 ~ MANABUYA DAY1 中学生ビジネスプレゼン

イベント設営としては、駅前というロケーションのため前日準備ができない厳しい状況。

あいにく雨をものともせず、早朝から急ピッチで渋谷駅前ハチ公前広場にステージが作られていきました。

開会宣言の後、まずは東京青年会議所 渋谷区委員会の事業として6月10日に行われた「MANABUYA DAY1」から続くプレゼンが行われました。

MANABUYAは中学生を対象とした起業に関するワークショップ。DAY1ではSDGs(持続可能な開発目標)に繋がるビジネスモデルをチームで考えるというものでした。今回はその最優秀チームの中学生たちが、自分たちの考えたビジネスモデルをステージでプレゼンを行います。

まず「お寿司を守ろう」と興味を引くキャッチからプレゼンはスタート。

お寿司を守るから、プラスチックゴミによる海洋汚染について問題定義。

その解決策としてリターナブル瓶の発展型ともいえるアイデアを提示。

ICチップによりボトル管理とデータ収集を行い、専用自販機に広告掲示と収集したビッグデータの販売を行うというものでした。

このプレゼンを渋谷で活躍するベンチャー企業3社の代表、そして4名の投資家が評価。

プレゼンの運び方や、時代に即したアイデアが盛り込まれている点などを評価していました。

■ 渋谷ベンチャー企業3社代表登壇

続いて渋谷で活躍するベンチャー企業3社の代表により、自社の事業を紹介する登壇が行われました。

株式会社ミグロス

・フードアップチャンレンジ

高校1年生~大学3年生を対象に、昼間営業していない飲食店を活用し学生が飲食店経営体験を行えるプログラム

・バルる

駅周辺の飲食店を活性化させるイベント

株式会社Nature Innovation Group

・アイカサ

ICチップによるデジタル管理・無人運営の傘レンタルシステム

no new folk studio Inc.

・ORPHE TRACK

IoT×靴×AI コンピューターを内蔵し走者のデータを収集できる靴「スマートフットウェア」

新しい着眼点のビジネスモデルで業績を伸ばしている3社。これから起業しようと考えている若者にとって手本、目標となる企業と言えそうです。

ビジネスプレゼンを行った中学生たちにも響いた様子でした。

■ 協賛企業サンプリングブース

ハチ公前広場には協賛企業のブースが設置されていました。

ゲーミング周辺機器を扱うメーカー

AKRACING(ゲーミングチェア)

HORI(ゲームコントローラーなどのゲーミングデバイス)

eスポーツの配信やイベント運営企業

CyberZ(動画配信プラットフォームOPENREC.tv)

RIZeST(eスポーツ番組制作・放送、大会運営)

eスポーツに直接かかわる企業としてイベント協賛に納得の企業が並びます。

そんななか少し変わった注目企業は

NTT東日本

高速・安定した通信インフラの今後のITの発展に欠かせません。そしてその範疇にはeスポーツも含まれるということです。

NTT東日本はこれまでにもゲーム大会支援を行っています。さらにeスポーツ×地域活性化を推進とのコメント。

日本の通信インフラを支える組織が、eスポーツに注力する。これはこれからの日本eスポーツの大きな発展を感じさせます。

大正製薬

リポビタンDのイメージキャラクター「リポビタンマン」を全面に推してのPR。

eスポーツやコアゲーマーといえば所謂エナジードリンクというイメージがあります。この流れにリポビタンDも参入。

またリポビタンマンはVTuber活動も開始しており、ゲーム実況などいかにもVTuberといった動画コンテンツもアップしています。

誰もが知る老舗企業が、eスポーツ・Vtuberといった先端ムーブメントを押さえてくることに興味が尽きません。

■ eスポーツ業界人パネルディスカッション

午後からはステージにeスポーツ業界人5名が登壇。

CyberZ RAGE総合プロデューサー 大友 真吾氏

ストリートファイターVプロライセンス保持者 パウエル氏

RIZeST代表取締役 古澤 昭仁氏

カプコン ストリートファイターVプロデューサー 綾野 智章氏

NTT東日本 経営企画部 影澤 潤一氏

MC シンイチロォ氏

今回のイベントに関わったeスポーツ業界第一人者5名によるパネルディスカッション。

この内容はOPENREC.tvのアーカイブ、01:58:20からご覧いただけます。

ゲームユーザーや今後のeスポーツに興味をお持ちの方は必見です。

OPENREC.tvオフィシャルチャンネル

渋谷駅前eスポーツ大会「SHIBUYA eSPORTS EXPERIENCE」配信

■ 渋谷TSUTAYAストリートファイターVアーケードエディション対戦イベントエキシビジョン

当日は11:00からハチ公前広場からすぐの渋谷TSUTAYA地下2階にてストリートファイターVアーケードエディション対戦イベントが実施されていました。

この対戦イベントはまるでゲームセンターの様に勝ち残り対戦を行い、5連勝を目指すというもの。

5連勝を達成した参加者には、その場で自分の名前をプリントした記念Tシャツを贈呈。

さらに、プロ選手であるパウエル氏とのエキシビジョン対戦の権利を得ることができます。

SHIBUYA eSPORTS EXPERIENCEの最後のプログラムとなるのが5連勝達成者とパウエル氏のエキシビジョンマッチ。

本来はハチ公前広場ステージに場所を移しての開催予定でしたが、雨天のため渋谷TSUTAYA会場での実施に。

実況になない氏

特別ゲストにNTT東日本 経営企画部 影澤 潤一氏

影澤氏はかげっちのプレイヤーネームでストリートファイターシリーズの大会実況・対戦会の主催などを務められ、ストリートファイターシリーズプレイヤーには知られている方という顔も持っています。

対戦イベントには強豪プレイヤーがこぞって参戦し、エキシビジョンマッチはパウエル氏とハイレベルな対戦が展開されました。

このエキシビジョンマッチは、こちらの配信アーカイブ03:37:30からご覧いただけます。

OPENREC.tvオフィシャルチャンネル

渋谷駅前eスポーツ大会「SHIBUYA eSPORTS EXPERIENCE」配信

■ eスポーツを新たな産業と捉える動き・更なるeスポーツの発展の感触

eスポーツという言葉がメディアを賑わせるようになって数年。2018年にはeスポーツ元年というフレーズも打ち出されました。

eスポーツは様々なアプローチが試みられ、数々の企業がその発展に注力しているのは間違いありません。

しかしながら、個人的には「eスポーツを構成する要素として語られているもの」について、以下のように感じていました。

「アイコンとなるプロゲーマー・プロゲーミングチーム」

「プロチームや、大会・リーグをスポンサードする企業」

「大会や配信を視聴するゲーム好き観客」

あくまで個人的な意見ですが、これまでeスポーツは上記3つを軸に事業やマネタイズに語られることが多いように感じていました。

対して今回のSHIBUYA eSPORTS EXPERIENCEでは、eスポーツを産業と見た時の視点の広さが違います。

eスポーツのイベントがあるならば、その企画や運営をする企業が必要(RIZeST)

ゲームイベントそのものだけでなく、記録や配信プラットフォームもeスポーツ産業(OPENREC.tv)

ゲームタイトルやプロゲーマーだけでなく、その周辺機器企業もeスポーツ産業(AKRACING、HORI)

そしてそのeスポーツをもっと広い産業として捉える視方をどの層に訴求するのか。

これもSHIBUYA eSPORTS EXPERIENCEは、ゲームに興味を持っているゲーマー層、とくくってはいません。

時代を担う中高生の若者に、新たな産業として、自分の進む選択肢として提示しているように感じました。

eスポーツを、ゲームというバイアスをかけずに新産業として捉え、紹介しているイベントはこれまでなかなかなかったのではないでしょうか。

今回のSHIBUYA eSPORTS EXPERIENCEのようなイベントが開催されたこと。このこと自体がeスポーツというものの研究や研鑽が重ねられ、今まさに発展していることの証拠といえるのではないでしょうか。

今後も日本各地でeスポーツイベントが増えてくると予想されます。

それらのeスポーツイベントが「eスポーツをどう捉え、どう発信していくイベントになっていくのか」

2019年、eスポーツというものの理解と進化に注目です。

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株式会社エイプリルナイツ メディア・イベント事業部。 ライトゲーマーゆえに、ゲームがボーダーレスなコミュニケーションツールになると感じています。社会人ゲーム文化の活性化をさせていきます。